以前の記事で、資産形成の方程式というものを紹介しました。この方程式でわかるのは、「節約をして、お金を貯めて、そのお金で資産買う」というのが資産形成の基本になります。では、資産として何を購入すればよいのか?という話になるのですが、これは、所有することでお金が得られるものを購入するということになります。具体的には、配当や値上がりによる利益が得られる株式や、家賃収入が得られる不動産ということになります。この記事では、少ない資金しかないときに、どのような資産を購入していけばよいかと、私が実際にどのような資産から購入し始めたかを紹介します。
少額でも購入が可能な資産
少額でも購入可能な資産をあげるとすれば投資信託以外にはありません。個別株を購入するには最低でも10万円程度は必要ですし、不動産となると最低でも数百万円の資金が必要です。一方投資信託では、100円からでも投資することが可能です。実際私も最初の投資は月1000円の投資信託の購入から始めました。
投資信託しかないといわれると自由度が狭いと感じるかもしれませんが、逆にこの自由度のなさが投資初心者にとって有利に働く面もあると思います。なぜなら、様々な銘柄のある個別株のことを考えることなく、投資信託のみを考えればよいからです。選択肢が多いことが、必ずしも良いというわけではないのです。
自由度がないといっても投資信託にもいろいろな種類があります。主なものは株式、債券、不動産、金や原油、穀物などのコモディティです。これらがさらに、先進国株式、新興国株式、米国株式といったようにさらに細分化されています。
このように、手持ち資金の少ないうちは、投資信託だけでも十分な投資が可能です。
投資信託とは何か
投資信託とは、「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品」です。投資、運用の対象は、国内外の株式、債券、不動産、金などです。ただし、運用商品ですから、メリットもデメリットもあります。
投資信託のメリット
投資信託は多くの投資家からお金を集めるので、一人が負担する資金は少なく済み、100円からでも投資が可能。
また、投資信託の投資や運用は専門家がしてくれるので、投資家は何を購入して、どう運用するかを悩む必要がありません。
さらに、投資信託では、複数の投資先に資金を振り分けて運用しているので、投資先の会社が1つ潰れたとしても大きな損害には出にくくなっています。
投資信託のデメリット
投資商品なので元本保証はされず、元本割れすることがあります。
購入時には購入手数料、保有時には運用管理費用(信託報酬)、売却時には信託財産留保金という手数料がかかります。ただしノーロードと呼ばれる購入手数料がかからない商品もあります。
投資信託の価格は、投資信託が組み入れている株式や債券などの時価評価を基に算出される基準価格というもので示され、基準価格は1日に1回のみ示されます。このため、個別株のようにリアルタイムでの取引が出きません。
投資信託の種類
投資信託は、投資先の商品、投資先の地域、購入時期等によって分類されますが、知っておくべき分類は、運用方針による分類です。運用方針による分類では、投資信託はインデックス型とアクティブ型に分類されます。
インデックス型の投資信託は、日経平均株価(日経225)やNYダウ平均株価等の特定の指数と同じような値動きをするように運用されます。一方、アクティブ型の投資信託は、独自の調査や分析に基づいて投資先を選定して、より高い利益を目指して運用されます。
インデックス型とアクティブ型はどちらが良いのか?
インデックス型とアクティブ型の投資信託は、どちらが良いかというのは、一概に言うことはできないと思います。
よく、「アクティブ型の投資信託はコストが高いので、アクティブ型の投資信託ははインデックス型の投資信託に勝てない」という見解を見かけますが、これが本当に正しいかどうかは疑問です。なぜなら、これまでは、一部の株価の指数が上昇してきたという事実はあるのですが、これからも上昇するという保証はないからです。
また、インデックス型の投資信託でよくお勧めされている、S&P500の指数に連動される商品があります。S&P500という指数は、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社が米国市場に上場している企業の中から代表的な500社を選出し、それらの株価を基に算出されています。この選出には、色々な基準があり、S&P500という指数は選出された米国の優秀な企業の数値をもとに算出されているといえます。したがって、S&P500の指数に連動する投資信託は、インデックス型というよりはアクティブ型に近い投資信託だといえるような気がします。
私が考える投資信託のいいところ
私が考える投資信託の良いところは、少額で購入できるうえに、運用の専門家が複数の投資先で運用するので、難しいことを考えなくても分散投資が可能というというところです。
個別に株を購入して、分散投資を個人で行うには、資金もそれなりに必要ですし、決算ごとに株式銘柄の評価をして、銘柄を入れ替えるというようなことをしなくてはなりません。つまり、お金と時間をあまり使うことなしに着実な資産形成ができるというわけです。
投資信託は運用商品なので、損失が出ることもあります。しかし、過去のデータから、間違った投資商品を選択しなければ、長期(10~20年)で運用すれば、損失が出ることはほとんどないと考えられます。
私も投資は投資信託から始めた
私も投資は投資信託の購入から始めました。購入したのは当時読んだ投資本で進められていた、「ニッセイ外国株式インデックスファンド」と「世界経済インデックスファンド」というインデックス型の投資信託です。
初めのころは投資本を読んでもよく理解できない部分も多く、投資は怖いという思いもあったので、月に1000円ずつの積み立てから始めました。
運が良かったということもあるでしょうが、1年後には約20%利益が出ていました。「これは、それなりに儲かるかも」と考えたので、投資額を月に1万円ずつに増やしました。
積み立てを始めて10年以上たちましたが、これらのインデックスファンドは数百万円の利益をだしていて、今も月に1万円ずつの投資を行っています。
今から始めるのであれば私ならどうするか
私が投資を始めたころにはNISAやiDeCoはまだありませんでした。今から私が投資を始めるなら、iDeCoの口座を開設して毎月定額の積み立てによる投資から始めるでしょう。
iDeCoであれば投資した金額が全額所得控除になりますし、インデックス型の投資信託による投資であれば、利益が確実になるには10年以上かかるからです。
運用商品は、現在の投資本でよく進められている、信託報酬(手数料)の安い(0.2%以下)、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、eMAXIS Slim全世界株式、eMAXIS Slim先進国株式インデックスといったものを選択するでしょう。
あえて私の好みを言えばeMAXIS Slim先進国株式インデックスがいいかなとは考えます。理由は、米国だけに偏るのはあまりよくないと思うのと、投資先は、投資環境がきちんと整備されている先進国で投資したほうが安全だと感じているからです。ただ、これはあくまで、私の考えであって、確実に正しいといえる意見ではありません。